2026年度の最低賃金について、中央最低賃金審議会から都道府県ごとの引上げ額の目安が公表されました。
全国加重平均では、現在の1,121円から55円引き上げる目安となり、目安どおり改定された場合は1,176円となります。
大阪府はAランクに区分され、引上げ額の目安は54円です。現在の最低賃金は1,177円のため、目安どおりとなれば1,231円水準となります。ただし、今回公表されたのはあくまで「目安」です。正式な最低賃金は今後、大阪地方最低賃金審議会で審議・答申され、最終決定されます。とはいえ、この目安額をもとに企業は今から準備を始めることが重要です。

2026年度最低賃金の目安
今回示された目安額は次のとおりです。
| ランク | 引上げ額の目安 | 主な都道府県 |
|---|---|---|
| Aランク | +54円 | 東京・神奈川・愛知・大阪など |
| Bランク | +56円 | 京都・兵庫・福岡など |
| Cランク | +56円 | 青森・高知・沖縄など |
今回の特徴は、Bランク・CランクがAランクを上回る引上げ額となったことです。
これは、地域間の最低賃金格差を縮小するという考え方が反映された結果といえます。
大阪府では現在1,177円ですが、目安どおりであれば1,231円水準となります。ただし、これは正式決定額ではないため、今後の審議結果を確認する必要があります。
正式な最低賃金は、厚生労働省や大阪労働局から公表されます。
なぜこの金額になったのかなど、今年度の目安に関する委員の見解は、令和8年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解でも確認できます。
今年の最低賃金改定で注目すべきポイント
近年は大幅な最低賃金の引上げが続いていました。大阪府では前年、1,114円から1,177円へ63円引き上げられましたが、今年の目安は54円です。
全国加重平均でも前年の**66円(6.3%)から、今年は55円(4.9%)**となり、引上げ額・引上げ率ともに前年を下回るのは6年ぶりとなりました。とはいえ、「54円」は大きな影響を与える額です。
例えば最低賃金で働く従業員が1日8時間・月22日勤務すると、
54円 × 8時間 × 22日 = 月9,504円の賃金増となります。
年間では約11万4千円。対象者が5人いれば約57万円、10人いれば100万円を超える人件費増となる可能性があります。さらに社会保険料や時間外労働の割増賃金にも影響するため、実際の負担はさらに大きくなります。
企業が今から準備しておきたいこと
正式決定はこれからですが、企業は今の段階から準備を始めることをおすすめします。
最低賃金の対応は「時給を上げれば終わり」ではありません。給与体系や人材定着にも関わる重要なテーマだからです。
① 自社の賃金が最低賃金をクリアしているか確認する
まず確認したいのが、自社の従業員の賃金です。
時給制だけでなく、月給制の従業員も時間額へ換算して確認する必要があります。また、通勤手当や家族手当、精皆勤手当など、最低賃金の計算に含めない手当もあります。「月給だから大丈夫」「総支給額は高いから問題ない」と思っていても、実際には最低賃金を下回るケースも少なくありません。
まずは正しい方法で確認することが第一歩です。
② 人件費への影響を試算する
最低賃金の引上げによる影響は、最低賃金で働く人だけにとどまりません。
賃金改定に伴って社会保険料や残業単価も変わり、会社全体の人件費が増加します。対象となる従業員が複数いる場合は、年間でどの程度の増加になるのかを試算し、資金計画へ反映させておくことが重要です。
③ 社内の賃金バランスを見直す
最低賃金だけを引き上げると、新人とベテラン社員、一般社員とリーダー職との賃金差が縮まることがあります。
「長年働いているのに新人とほとんど変わらない」
「責任が増えたのに給与差が少ない」
このような不満は、人材定着に大きく影響します。
最低賃金への対応は、会社全体の賃金体系を見直す良いタイミングです。役割や責任、経験に応じた給与になっているかを確認し、「頑張れば評価される」と社員が感じられる仕組みを整えることが、長期的な定着につながります。
④ 求人条件も確認する
採用活動を行っている企業は、求人票や採用ページの賃金も確認しましょう。
最低賃金を下回る条件では募集できませんし、最低ラインぎりぎりでは応募が集まりにくい時代になっています。
採用競争力という視点からも、求人条件を見直す良い機会といえるでしょう。
最低賃金改定は会社を見直すチャンス
最低賃金への対応は、法律を守るためだけの作業ではありません。
「なぜこの給与なのか」
「社員は納得して働けているか」
「採用した人材が定着する賃金体系になっているか」
こうした視点で会社全体を見直すことで、人材確保や人材定着にもつながります。毎年の最低賃金改定に追われるのではなく、自社に合った賃金制度を整えるきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
新大阪でちひろ社会保険労務士事務所を運営している田中裕気と申します。
2026年度の最低賃金は、全国加重平均で55円引上げの目安が示されました。
大阪府では54円の引上げが目安となっており、現在の最低賃金に加えると1,231円水準となります。ただし、正式な最低賃金は今後の審議を経て決定されます。
今のうちから賃金の確認や人件費の試算、賃金バランスの見直しを進めておくことで、正式決定後も慌てず対応できます。
最低賃金への対応をきっかけに、自社の賃金制度や人材定着について考えてみてはいかがでしょうか。
ご相談ください
ちひろ社会保険労務士事務所では、小規模事業者・中小企業を対象に、最低賃金への対応、賃金制度の見直し、人材定着につながる仕組みづくりをご支援しています。
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