こんにちは。ちひろ社会保険労務士事務所の田中です。
年末から年度末にかけて、企業ではどうしても業務が立て込みます。
売上管理、来期の計画、決算準備──
毎年この時期は「気づけば予定がぎっしり」ということも珍しくありません。
そんな慌ただしい流れの中で、気づくと後回しになりやすいのが
従業員の健康診断の管理 です。
「まだ受けていない人がいたはずだけど、誰だったか…」
「医療機関の予約が取れず、このまま年度末に入りそうだ」
現場では、この“なんとなく把握しているつもり”が、
いざ年度末が近づくと大きな抜け漏れにつながることがあります。
だからこそ重要なのは、
年度末のバタバタに入る前に、『確実に実施できる管理体制』と『計画的なスケジューリング』を整えておくこと。
ここから先では、
そのために経営者として押さえておきたいポイントを整理していきます。
健康診断は“前回から1年以内”が原則
年度末に追われる前に、現状を俯瞰して整理する
従業員の定期健康診断は「前回の検査から1年以内に実施」が原則です。
年度単位で考える必要はありませんが、年度末に近づくほど忙しくなり、調整が難しくなるのは事実です。
だからこそ今のうちに、
- 受診済み・未受診の整理
- 医療機関の予約状況の確認
- 再検査のフォロー状況
- 年度内に無理なく受診できるスケジュール案
を整えておくことで、健診の未受診リスクを大幅に下げられます。
健診が滞る一番の原因は「忙しさ」ではなく、
事前の計画がないこと です。
■忘年会・新年会の影響も考慮したスケジューリングを
12月〜1月は飲食の機会が増え、体調が変動しやすい時期でもあります。
血液検査の数値に影響するケースもあり、
生活リズムが整ってくるタイミングで健診を受ける方が適切な結果を得られることがあります。
その意味でも、年度末の直前に詰め込むのではなく、
時期を見ながら余裕をもってスケジュールを確保することが重要です。
経営者自身の健診も「計画」に含めるべき理由
従業員と違い、経営者には法的受診義務はありません。
しかし事業継続を考えると、経営者の健康は企業リスクそのものです。
従業員に健康診断を促す企業が、
経営者自身の健診を後回しにしてしまうのはもったいないことです。
計画を立てる際には、
経営者自身の健診予定も必ずスケジュールに含めておくことをおすすめします。
■ 年度末に入る前に見直したい健康診断管理ポイント
忙しさが増す前の今、次の項目をチェックしてみてください。
- 従業員の健康診断の受診状況が一覧で把握できているか
- 前回から1年以内に受診できる計画になっているか
- 医療機関の予約枠を早めに確保できているか
- 健診結果と再検査のフォロー体制が機能しているか
- 経営者自身の健康診断計画も組み込まれているか
この5つが整うと、健康診断の未受診リスクは大幅に低減します。
■ まとめ:年度末のバタバタに入る前に“整える習慣”が企業を守る
健康診断は、企業と従業員の安全を守る基盤です。
重要なのは、
- 年度末が忙しくなる前に、管理体制と計画を整えること
- 無理なく確実に実施できるスケジュールを組むこと
- 経営者自身も健康診断を受け、健康経営の姿勢を示すこと
この3点がそろうだけで、企業の健康診断管理は格段に安定します。
そして最後に──
私自身も今年の健康診断がまだ残っていることに気づきました。
業務に追われる年度末を迎える前に、
この記事を書いた流れで、私も早めに受診計画を整えようと思います。
