令和8年度の助成金から見える「人への投資」という経営戦略

~補助金ではなく、“人づくり”を支えるツールとして~

厚生労働省が「令和8年度 概算要求」を公表!

厚生労働省が発表した「令和8年度 概算要求」。
その中で注目したいのは、助成金が「単なる支援制度」から、人材育成・定着を軸とした経営支援ツールへと進化している点です。
今回のコラムでは、来年度の助成金動向を踏まえながら、“人を活かす経営”について考えてみたいと思います。


目次

賃上げと生産性向上は、もはや切り離せないテーマ

来年度も「業務改善助成金」や「働き方改革推進支援助成金」が中心的な位置づけです。
いずれも、生産性向上と賃上げを同時に進める企業を支援する仕組みで、
助成金を“もらうための制度”から、“経営を見直すための制度”へと変化しています。

国の制度が「賃上げ=コスト」ではなく、「賃上げ=成長投資」と捉えていることは、
中小企業にとっても経営の方向性を示す大きなサインです。


「人が辞めない会社」への後押しが拡大

「人材確保等支援助成金」では、人事評価制度や賃金制度の整備などを通じて
離職率を下げた企業を支援しています。

令和8年度は、賃金を3%以上引き上げた場合の加算制度が新設予定。
“人を大切にする経営”を実践している企業ほど恩恵を受けやすくなります。

また、テレワークや柔軟な働き方の導入も引き続き支援対象。
働き方の柔軟性はもはや福利厚生ではなく、採用と定着の戦略的手段になっています。


「学び直し」が経営の基盤に

AI・デジタル化の加速に伴い、社員のスキルアップ=企業の競争力という構図が強まっています。
そのための支援策として注目されるのが「人材開発支援助成金」。

令和8年度は、訓練後に生産性向上のための設備投資を行った企業への助成が追加される見込みです。
つまり、「学び」と「現場改善」をセットで支援する流れに。

“リスキリング(学び直し)”は、もはや一部の大企業の取り組みではなく、
中小企業にとっても必要不可欠な経営テーマになっています。


助成金は「目的」ではなく「手段」

助成金を活用する際に大切なのは、「どの制度を使うか」ではなく、
「何を実現したいのか」という目的意識です。

「人が育つ会社にしたい」
「社員が誇りを持てる職場をつくりたい」
「地域に根差した企業として長く続けたい」

そのための一歩を後押しする“ツール”として助成金を位置づけると、
制度がぐっと身近になり、経営戦略と自然に結びついていきます。


経営者の一歩が、未来を変える

助成金の申請は確かに手間がかかります。
けれども、それを**“人と組織を見直す機会”**と捉えれば、
書類づくりの時間も経営の一部になります。

「制度を使う」から「制度を活かす」へ。
この視点を持つ経営者こそが、次の時代の人づくりをリードしていくのだと思います。


正式な制度の詳細は令和8年3月頃に公表予定です。
今のうちから、「賃上げ」「人材育成」「定着」に向けた準備を進めておくことで、
スムーズな申請と効果的な活用につながります。

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