労基法大改正2026提出見送り|約40年ぶりの見直し議論の現状

今回は、2025年に大きく注目された労働基準法の大改正について、
2026年通常国会への提出を見送る方針と報じられた流れを踏まえ、現時点での整理と今後の見通しをまとめます。

新大阪でちひろ社会保険労務士事務所を運営している田中です。
中小企業・小規模事業者を中心に、就業規則や労務管理、法改正対応を中心とした、
現場で実際に使える運用を重視したサポートを行っています。

目次

労基法の「大改正」はなぜ注目すべきなのか

テレワークやフレックスタイム、副業・兼業の広がりなどにより、
労働基準法が前提としてきた働き方と、実際の労働環境との間にはズレが生じています。

こうした状況を背景に、厚生労働省の有識者研究会では、
労働基準法について制度の根幹から見直す必要があるのではないかという議論が進められ、
「約40年ぶりの大改正」とも言われる検討が行われてきました。

2026年通常国会への提出は「見送り」に

報道によると、厚生労働省が準備を進めていた労基法改正案について、
2026年通常国会への提出は一旦見送られる方針とされています。

改正議論そのものが中止されたわけではありません。
一方で、高市早苗首相から
「心身の健康維持を前提としつつ、従業者の選択を尊重した労働時間規制の在り方を検討すべき」
との指示が出されたことを踏まえ、現時点では法案として取りまとめる段階には至っていないという状況のようです。

そもそも何が「大改正」と言われていたのか

これまでの議論では、企業実務に直結する重要な論点が挙げられていました。
主な内容を簡潔に整理すると、次のとおりです。

14日以上の連続勤務を禁止する方向での上限規制

現行法では「週1日または4週4休」という枠組みのため、形式的に休日を入れれば長期間の連続勤務も可能です。
改正議論では、実質的な休息確保の観点から、連続勤務そのものに上限を設ける考え方が示されました。

週1日の法定休日を明確に特定する義務

法定休日と所定休日を区別していない事業所も少なくありません。
どの日が法定休日かを明確にすることで、休日労働や割増賃金の整理を図る狙いがあります。

勤務終了から次の始業まで一定時間を空ける勤務間インターバル制度

勤務終了から次の始業まで、一定時間(例:11時間)以上の休息を確保する考え方です。
遅い時間までの残業後に翌朝早く出勤させる働き方を抑制し、睡眠や生活時間を確保することを目的としています。
シフト制や交代勤務の事業所では、勤務時間の組み方そのものを見直す必要が出てくる可能性があります。

年次有給休暇の賃金算定を通常賃金方式とする考え方

年休中の賃金算定方法が事業所ごとに分かれている現状があります。
通常賃金方式を原則とし、分かりやすい賃金設計を目指す方向性です。

副業・兼業時の労働時間通算や割増賃金の扱い

現行の通算ルールは、実務上の把握や管理が難しいケースも多くあります。
副業が前提となる働き方に制度をどう合わせるかが課題とされています。

一部業種に残る週44時間特例の見直し

現在も一部業種では週44時間までの労働が認められています。
週40時間原則への整理を進めるべきではないかという議論が行われました。

「つながらない権利」の整理・明確化

業務時間外の連絡対応が常態化しているケースも少なくありません。
勤務時間外は業務連絡に応じなくてよいという考え方を整理・指針化する議論が行われました。

企業が今、意識しておきたいポイント

提出見送りにより、直ちに対応が必要な改正はありません。
ただし、今回の論点は今後の法改正や行政の考え方を読み取る材料になります。

  • 法定休日と所定休日の区別
  • 勤怠管理や労働時間把握の実態
  • 就業規則や労使協定の整合性
  • 時間外の連絡・対応ルールの整理

こうした基本を今のうちに確認しておくことが重要です。

まとめ

  • 労基法の大改正は、2026年通常国会への提出が一旦見送られた
  • ただし、約40年ぶりとされる見直し議論が消えたわけではない
  • 今後に向けた「整理・検討フェーズ」に入ったと考えるのが自然

ニュースとして終わらせず、
自社の労務管理を見直すきっかけとして活用していきましょう。

ご不明点や整理段階のご相談でも構いません。
気になる点があれば、お気軽にご相談ください。

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