~事業者が押さえておきたい3つのポイント~
大阪府の最低賃金(地域別最低賃金)が、2025年10月16日から現行の1,114円から1,177円へ、63円引き上げられる予定です。引き上げ額・率ともに過去最大規模となり、企業や働く人々にとって大きな影響をもたらします。今回は、最低賃金改定にあたり押さえておきたい3つのポイントを整理しました。
① 過去最大の引き上げ、その背景とは
今回の改定は、全国的な人材確保の難しさや物価上昇を背景に、賃金水準を底上げする狙いがあります。
大阪府の最低賃金は1,177円となり、東京都・神奈川県に次ぐ全国第3位の水準です。大都市圏の中でも労働コストが一段と上がることになり、中小企業の経営への影響は避けられません。
適用は 2025年10月16日から ですが、実務上は9月中に大阪労働局から「決定の公示」が行われます。
この公示の時点で新しい最低賃金が「確定」しますので、事業者は10月を待つのではなく、9月の段階で賃金体系を確認・修正し、必要に応じて従業員への説明準備を進めることが重要です。
② 最低賃金のしくみと注意点
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があり、いずれか高い方が適用されます。
また、最低賃金の比較に用いる賃金にはルールがあります。
- 含まれる賃金:基本給や毎月定額で支払われる手当(ただし特定の手当は除く)
- 含まれない賃金の例:
- 通勤手当、精皆勤手当、家族手当
- 賞与など臨時に支払われる賃金
- 所定労働日以外に働いた際の賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時~午前5時の深夜労働に対して支払われる割増部分
つまり「基本給や通常の手当」で最低賃金を下回っていないかどうかを確認することが大切です。
③ 賃上げに向けた支援策を活用する
最低賃金の引き上げは、人件費増加という経営上の課題につながります。特に人件費比率が高い小規模事業者にとっては、賃上げ分をどのように吸収するかが大きなテーマです。
そこで活用したいのが、国や自治体が用意している公的支援策です。
- 業務改善助成金:事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、設備投資や生産性向上の取り組みを行った場合に補助。例えばレジの自動化やシステム導入なども対象になります。
- キャリアアップ助成金:非正規雇用労働者の処遇改善に活用可能。
- 賃上げ促進税制:給与支給額を一定以上増加させた企業に税額控除を認める制度。
- 企業活力強化貸付(日本政策金融公庫)やIT導入補助金など、投資と人件費増を両立させる仕組みも用意されています。
こうした制度を組み合わせることで、単なるコスト増にとどめず、生産性向上や働きやすい職場づくりへの投資のチャンスに変えることが可能です。
まとめ
最低賃金の改定は毎年行われていますが、今年は過去最大の引き上げ幅であり、全国でも上位水準となります。
「今の賃金で大丈夫か」「手当の扱いは正しいか」「助成金の対象になるのか」 ——これらを早めに確認することが重要です。
ちひろ社会保険労務士事務所では、賃金制度の見直しから助成金の活用まで、中小企業の皆さまの実務に寄り添ったサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。