代休と振替休日の違い|割増賃金と時間外手当の落とし穴
本記事では、代休と振替休日の違いを中心に、
割増賃金や勤怠管理で注意すべきポイントを整理します。

はじめに|代休と振替休日、正しく使い分けていますか?
休日に従業員が出勤したとき、
その後の休みをどのように扱っていますか。
「代休を取らせている」
「別の日を休みにしている」
こうした対応は、現場ではよく見られます。
ただし、その休みが
代休なのか、振替休日なのかによって、
労基法上の扱いは大きく変わります。
本記事では、
代休と振替休日の違いを中心に、
割増賃金や勤怠管理で注意すべきポイントを整理します。
なお、前回のVol.1では、
休日の前提となる
法定休日と所定休日の違いについて解説しています。
▶ 【Vol.1】それ、実は労基法違反かも?法定休日と所定休日の違い
https://chihirosrgs.net/seriesihankamo/post-437/
代休と振替休日の違い|振替休日とは何か
振替休日とは、
事前に休日と労働日を入れ替える制度です。
本来は休日としていた日を労働日にし、
その代わりに別の日を休日として指定します。
この場合、
元の休日は労働日扱いになります。
そのため、休日労働には該当しません。
結果として、
法定休日に対する
35%の休日割増賃金は不要となります。
【重要】振替休日でも時間外手当が必要なケース
ここは、
実務で最も見落とされやすいポイントです。
振替休日を使えば、
「割増賃金は一切不要」と
思われがちですが、そうではありません。
振替休日により休日労働は回避できても、
その週の労働時間が40時間を超えた場合には、
超えた時間について
時間外労働(25%以上)の割増賃金が必要です。
具体例
- 平日5日×8時間=40時間
- 休日を振り替えて同じ週に6日勤務
→ 40時間を超えた分は時間外労働
つまり、
振替休日=割増賃金ゼロではありません。
代休とは|休日労働のあとに与える休み
代休は、
休日労働をした後に与える休みです。
休日に働いた事実は消えません。
そのため、その労働は
休日労働として扱われます。
法定休日に働いた場合は、
35%以上の休日割増賃金の支払いが必要です。
代休と振替休日の違いを整理すると
| 項目 | 振替休日 | 代休 |
|---|---|---|
| タイミング | 事前 | 事後 |
| 休日労働扱い | ならない | なる |
| 休日割増 | 不要 | 必要 |
| 時間外割増 | 40時間超で必要 | 必要 |
なぜこの違いを理解する必要があるのか
代休と振替休日の違いを曖昧にしたまま運用すると、
割増賃金の未払いや、
労基署からの是正指導につながるおそれがあります。
「振替休日にしているから大丈夫」
という思い込みが、
一番リスクになるケースも少なくありません。
まとめ|「振替=安全」ではありません
- 振替休日は休日割増を回避できる
- ただし、週40時間を超えれば時間外手当は必要
- 代休は休日労働として割増賃金が発生する
代休と振替休日の違いを正しく理解することが、
会社と従業員の双方を守ることにつながります。
関連記事(内部リンク)
- ▶ 【Vol.1】それ、実は労基法違反かも?法定休日と所定休日の違い
https://chihirosrgs.net/seriesihankamo/post-437/
外部リンク(公的情報)
振替休日や休日労働の考え方については、
厚生労働省のQ&Aでも整理されています。
▶ 厚生労働省「労働基準法Q&A(休日労働・振替休日)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_12.html
次回予告|「固定残業代だから大丈夫」と思っていませんか?
割増賃金の話を整理していくと、
次によく出てくるのが
「固定残業代を入れているから問題ない」という考え方です。
次回は、
【シリーズ】それ、実は労基法違反かも Vol.3
「『固定残業代だから大丈夫』は本当か?」
をテーマに、
中小企業で特に多い“思い込み”を整理します。
新大阪の社労士より
新大阪で
ちひろ社会保険労務士事務所を運営している田中裕気と申します。
中小企業・小規模事業者を中心に、
就業規則や労務管理、法改正対応について、
現場で実際に使える運用を重視したサポートを行っています。
「うちの運用は大丈夫か」
そんな確認段階のご相談にも対応しています。
